パタゴニアの大自然は素晴らしいけれど、観光地をめぐっているだけだとどうしても手軽な感じがしてしまう……。そう思った私たちは、思い切ってトレッキングにチャレンジ! しかも食料やテントまで持っての本格的なもの。私たち的にはパタゴニアのハイライトだったフィッツ・ロイのトレッキング模様です

 

トレッキングの基点となるエル・チャルテンはぎりぎり「村」かな……というぐらい規模が小さい。道路はダート道だし、建物もちょこちょことしか見当たらない。なんだか宮崎映画に出てきそうな村だな

 

村を駆け回っていたちびっ子チャリダー軍団。こういうところで育つんだから、さぞたくましくなるだろう。みんな素朴ないい子たちで「写真を撮るよー」と言ったらおすまししてポーズをつけてくれた

いよいよトレッキングがスタート! 「迷ったらどうしよう」なんて思っていたけれど、ちゃんとトレッキング道が作られているのでその心配はなし。木々が傾いているのは、吹き付ける強風のせいだ

 


登り初めて1時間もしないうちに、突然目の前の視界がガーっと広がった。連なる山々と、その間を縫うように流れる川。「ああ、人間はちっぽけなんだね〜」と感慨にふける
広々とした大地に黄色い花が咲く。周囲は風がビュービュー吹きつけているけれど、いまはパタゴニアがいちばん暖かい季節なのだ。短い夏を楽しむかのような景色が印象的だった

 

黄色い花はタンポポ。世界の最果ての土地に咲いているのが日本の道路脇に咲いている花と同じ、というのが何か感慨深い。強風にあおられて、茎も花ビラも曲がっている姿がけなげだ
歩いていると、そこかしこで強風の爪あとを感じる。大木が根元のほうからバッキリと裂けてしまっているのも、きっと強風のせいだろう。そのうちまっぷたつに割れてしまいそうだ

 


この公園内ではホース・ライディングもできる。パタゴニアの大自然の中を馬で駆け巡るのもステキ! だけど自分たちの足で歩くのも悪くないのだ
スタートから2時間ほどで、主峰フィッツ・ロイが見える。漢字の「山」そのもののような形だ。頂上は3405メートル。強風で常に雪粒が舞っていることから「煙を吐く山」としても知られている。登るのが難しい山なのでクライマーの聖地として知られているらしいが、こんなものに登ろうという人がいること自体が信じられない

 


トレッキング・ルートにはいくつもの湖がある。ここは比較的小さな湖。もうちょっと暑かったら泳ぎたいところだけど……

今回のトレッキング、私たちのお家はこちら。村で借りてきたテントだけど、意外に簡単に組みあがってゴキゲン。キャンプ・サイトは林の中だが、それでも周囲から横風が吹き付けるのが難点

 

持ってきた食料を調理する妻。もちろんこのキャンプ場には物は売っていない。でも自然の中を歩き回ってから食べるご飯だから、なんでもおいしいのだ!

キャンプ場には水道もなく、水はすべてこの川から汲んで使う。澄み切った水で、飲んでもおいしい! 顔を洗うにはちょっと冷たいけれど……

 


川にはトレッカー用にこんな橋もつけられている。手前の看板には「1人だけよ」の文字。木をギシギシ揺らしながら橋を渡っていると、つい童心に戻る


2日目、荷物をテントに置き、川沿いの道を通り氷河まで歩く。「簡単だよ」と聞いていたが、川で道が崩れていたりして、ちょっと泣きそうになる。フードをしっかり被っているのは強風対策

 

氷河はもうすぐ! というところまできて、巨大な岩がゴロゴロと現れた。こいつが崩れてきたら間違いなく死ぬな……と思いながら、岩を越えるダンナ。ちょっと腰がひけてます(笑)
山越え谷越えやっとたどり着いた氷河!すばらしい! と思わずふたりで万歳三唱してしまった(笑)。自力で見に行ったのもよかったのか、いたく感動したぞ

 

午後になって、青空が広がってきた。こうしてみると、パタゴニアの空は青い! どこまでも続くパンパに、1本だけにょきっと出た木がアクセントをつける。あー、パタゴニア最高! と思った瞬間

このトレッキング・ルートでよく見かけた花。ちょうちんのように膨らんでいて、まるで黄色い靴のよう。この花の名前を知っている方、ぜひ教えてくださーい

 


ちょっとひと休み。途中の川で汲んだ水をゴクゴク飲む。いやあ、この水がうまいのなんのって! 普段はツライことはパス! な私たちだけど、トレッキングもいいな〜と思う

2日目のキャンプ・サイトはこちら。ちゃんと林の中だけど、それでもやっぱり強風が吹きつけてくる。夜になると結構怖い

 


3日目の朝。普段は寝坊すけの私たちだけど、こういう日は早起きする。ちょっと雲がかかった尖峰セロ・トーレの姿が神々しい。でもやっぱり登る気にはならない(笑)


朝日を浴びて、周囲の山々も輝いていく。緑が生えているところと、そうでないところがハッキリとわかる。うーん、気持ちいい朝なのだ

 


本日は下山の日。私たちを見送るかのように? なんだかスペーシーなUFO型の雲がスーッと現れた。風が強いせいか? 雲の形が刻々と変わるのもおもしろい

いよいよ村が近づいてきた。その前に荷物をおろしてちょっとひと休み。座ってボーっと自然を眺めていると、実は本当のぜいたくってこういう瞬間じゃないかと思う

 


これにてフィッツ・ロイのトレッキングは終了。空をバックに広がるパンパの真ん中にいるとなんだか誇らしげな気持ちになる。やっぱりパタゴニアの自然はスゴイ!